雪催い書割りに似た街並よ

 雪催いシネマの如き空浪漫  アロマ

 神木の根の盛り上がる雪催ひ  廣瀬直人

 雪催ひミルクココア飲み干して  アロマ

 薪割りの枕がとんで雪催  鷹羽狩行

 雪催いビンチョウ鮪のカルパッチョ アロマ

 身のどこか蝕進むらし雪催  佐藤鬼房

 雪催い灰色の空に吸い込まれ  アロマ

 人中や風船ゆきて雪催  秋元不死男

 水の香と木の香かよへり雪催  藤田湘子 てんてん

 水出づる魚は暗しも雪催  斎藤玄 雁道

 水滴を待つ硯あり雪曇  石川桂郎 高蘆

 石の上雪空となりゆれ通し  岸田稚魚 筍流し

 積む岩の重みの不安雪催ひ