半露天雪見の風呂は蔵王かな

 天にまだある粉雪がちらちらす  御旅屋長一

 天よりも夕映敏く深雪の面  野澤節子 黄 瀬

 ユトリロのパリの雪道白い塔  アロマ

 啼きしあと鶴は深雪の中あゆむ  安田 晃子

 地酒買ふ飛騨の暮雪に肩濡らし  長田等

 みそさざい暮雪に声をこぼし去る  中村 信一

 みちのくの深雪の倉の寒造  遠藤梧逸

 レモン大の雫おちくる雪国晴れ  桜井博道 海上

 レール若し貨車を雪国より発たす  磯貝碧蹄館 握手

 不安ごとテレカ吸いこまれ雪国へ  吉田嘉彦

 人を消し忘れ帝都の深雪かな  五島高資

 僧に遇ふのみの深雪の高野かな  岩