梅の花古木に咲いて風情あり

 あづまやに恋の落書梅匂ふ  渡辺玉樹

 こゝに梅ありと思ひつゝ闇の小路行く 梅が香 正岡子規

 一山の梅の香が降る 朝の顔  伊丹三樹彦

 下り立てる無人の駅の梅にほふ  山口青邨

 夏梅の香や遠州の花の跡  諷竹

 高貴なる味の梅干に巡り合う  アロマ

 そこここの日向ばかりの梅匂ふ  山口草堂

 日溜りのあり早梅の香を溜めて  稲畑汀子

 甘露なる梅の味わい蜜で漬け  アロマ

 ドア開くたびに梅の香峡の駅  村田軍司

 一輪にして梅が香のありにけり  高浜年尾

 半蔀(はじとみ)に梅匂ひ来し空明けて  筑紫磐井 野干