吾子が女雛私に似ると言う

 ことごとくまことをうつし雛調度  本田あふひ

 くれなゐの闇あたたかき雛の間  西村梛子

 にほやかに刻の過ぎつゝ雛祭  大橋敦子 母子草

 つるし雛夕日とろりとまとひをり  武内婦美子

 箪笥の上に木目込み親王飾り  アロマ

 ひざまづき飾る高さに官女雛  片山由美子 雨の歌

 なほ映えてわが雛五十路こえ給ふ  及川貞 榧の實

 掌の上に今出来たての雛あられ  星野立子

 新妻の頃のにほひす雛まつり  三島晩蝉

 新築のプランに入れて雛の間  稲畑廣太郎

 明日は雛飾りやりたく一人娘に  星野立子

 はなさけり古きを祝ふ雛の宿