掻き鳴らす琵琶の音色に春夕焼

 想ふこと春夕焼より美しく  富安風生

 揚げ物の音が窓洩れ春夕焼  三村純也

 春夕焼ジャングルジムより子をとり出す  井上真実

 春夕焼向ひの家の鏡見ゆ  岡本 眸

 春夕焼等しく暮れる一村に アロマ

 春夕焼真珠筏を染めにけり  小山南史

 白鳥の去りし水面へ春夕焼  佐藤美恵子

 竹山の声つつぬけや春夕焼  長谷川 櫂

 笑い声ぶつかり歩く春夕焼  二村典子

 春夕焼惜しみつ一人辿る道  アロマ

 茶の泡に春夕焼のとどまらず  加藤楸邨

 馬具耕具軒に掛け干す春夕焼  畑中七郎

 地に子供春の夕焼母のごとし  三谷昭