伊東潤氏著「幕末雄藩列伝」⑤水戸藩

水戸藩:水戸藩は幕末に歴史の表舞台に彗星の如く現れ、凄まじい光芒を放ったかと思うと、瞬く間に消えていった藩である。輝きを担った人々も多士済々だ。尊王攘夷運動の元祖、九代藩主斉昭、彼の七男15代将軍慶喜、水戸学の藤田東湖、桜田門外の変の首謀者関鉄之助、天狗党の総帥武田耕雲斎と東湖の息子藤田小四郎などである。

水戸では現代でも佐幕派(諸生党)と尊王攘夷派(天狗党)のわだかまりが残っているといわれている。それだけ幕末には両派の争いは激烈だったのだ。水戸学の根本は「愛民」と「尊王」である。徳川斉昭の登場で水戸藩の幕末は始まった。

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