辛夷か白木蓮かと目を凝らす

 明くれば空の青きより来り咲く木蓮の花  安斎櫻[カイ]子

  昼ふかく魔の刻ありぬ紫木蓮  伊東宏晃

 曇りゐて花びら重し紫木蓮  上村占魚 『方眼』

  月光に連れゆれにけり紫木蓮  鈴木貞雄

 朧夜の風に木蓮くづれけり  冬葉第一句集 吉田冬葉

  木蓮が蘇鉄の側に咲くところ  河東碧梧桐

  木蓮と判りしほどに莟みたり  高浜年尾

  木蓮と大きな門の記憶のみ  富安風生

 木蓮にうるしのごとき夜空かな  三宅清三郎

  木蓮にたどりつきたる遍路かな  岩田由美

  木蓮に僅かのところ引き返す  阿部みどり女

  木蓮