川口松太郎の「古都憂愁」を読む

京都は日本の古都である。寺社仏閣の多さは群を抜いている。小説家川口は京都に住んだ経験をもとに、古都の懐かしき風情を芸妓との人情話として表現した。
全12話である。
名妓万栄
円山しだれ
洛北再会
包丁姉妹
嵯峨野悲雨
祇園祭
霧の中の比叡
清水寺少女
金色の臍
大根焚きの味
鹿ケ谷遁世
金閣寺の白蛇

彼の友人に映画監督、溝口健二がいる。
溝口が谷崎潤一郎の小説「芦刈」の映画化として「お遊さま」を作った。舞台となる古都の粥川家の別荘として選んだのが、かつて祇園の京舞の名妓「鶴羽」の住居だった。

その庭がすばらしい。映画のファーストシーンで慎之介が見合の