麻地の暖簾涼しく藍の文字

 夏立つや強く脂噴く桜の木  小澤實

 烏鳴き声幼くかあかあと  アロマ

 夏来るらし貝がらのストラップ  黛まどか

 夏来る回転寿司の彼方より  櫂未知子

 夏来る路地知らない人が通り抜け  菖蒲あや 路 地

 夏立つや衣桁にかはる風の色  也有

  夏立つや貝を研ぎ出す若狭塗  浜 明史

 子を発たす立夏の駅の草の丈  石井直子

 マニュキア光る初夏のエレジー  アロマ

 山脈に藍さして夏立ちにけり  相馬遷子 雪嶺

 風にふわりとワンピース膨らむ  アロマ

 川底の雲母の翳る立夏かな  鳥居美智子

 手が水に洗はれてをる