瑞兆か窓からの虹くっきりと

 刈田よりのぼりし虹の脚ゆらぐ  竹倉美智子

  別れ途や片虹さらに薄れゆく  石川桂郎 含羞

 剥落し虹は湖底に沈みたり  柴田奈美

 元朝の虹の立ちたること知るや  稲畑 汀子

 円虹の立ちゆらぎ一つ雲飛べり  水野博子

  円虹や眼下に峯の影のびて  本多勝彦

 冴返る虹いくたびも日本海  黒田杏子

 出て虹を仰ぐ人なくトラピスト  松本菊生

 一片の虹残す森の家灯る  内藤吐天 鳴海抄

 一筆の虹が貫く冬座敷  古舘曹人 砂の音

 虹色の器に水を張っている  アロマ

 冬の山虹に踏まれて彫深し  西東三鬼

 向うにも虹を