愛用の万年筆の色は赤

 ペン先に小さき陽炎生みつつ書く  加藤楸邨

 ペン先の渇きていたる四日かな  宇咲冬男

 愛用の万年筆の色は赤  アロマ

 ペン先の金やはらかき暮春かな  小川軽舟

 万年筆のインクカートリッジ取り替えて  アロマ

 ペン先をとりかへ今日も暑き事務  副島いみ子

 ペン先をのぼる睡魔や鳥曇  山元志津香

 ペン先を蟻に近づけ詩に飢うる  上田日差子

 ペン措きて去年の日記となりにけり  佐々木遡舟

 ペン置くや暮れて野焼の火の残る  石川桂郎 四温

 ペン描きの冬木のなかの狙撃兵  滝口佳代

 ペン返すために日傘をさして来し  岩