宵闇の河原に蛍明滅す

 いつのまに来て大ぜいや蛍狩  田中駝門子

 ほたるいか山の船津の町に売る  山口青邨

 今少し若くて来たしほたる狩  能村登四郎

 何思ひたつ螢火の急上昇  上田五千石 風景

 宵闇の河原に蛍明滅す  アロマ

 たましいに螢と同じ光あり  清水きよし

 ひそめゆく声や思ひや初螢  朝倉和江

 ひとすぢのこの川あふれ蛍狩  前田野生子

 ともに名を明かさず別れ螢狩  長田等

 ともり初む蛍の刻に従へり  河野美奇

 旅にしてけもの路螢火に埋まり  金子兜太

 星の散蛍火の散天と地に  山口誓子

 手に当りこつんと源氏螢かな  飯島