昭和は過去白りんだうの先充つる 松村多美
昭和ますます遠くなりゆく小豆粥 行川行人
昭和また遠しと言はむ散り椿 所山花
昭和また銅像に雷近くなる 徳弘純 麦のほとり
昭和より流謫の日々や霜柱 斎藤慎爾
昭和一桁鯛焼のうらおもて 手塚 美佐
昭和永し旅路いづこも泡立草 安江緑翠 『枯野の家』
昭和遠し冷しトマトといふ肴 伊藤伊那男
昭和果つ七日の波頭すべて鎖 熊谷愛子
昭和経し身に冷え冷えと夕桜 川崎展宏 冬
昭和時代水銀燈の櫻の園 山口誓子 方位
昭和終りしてふサハリンの夏望む 山本つ