自家源泉二本の湯宿かな

 ホテル・ビィレッジ白根葵は夢いろに  つじ加代子

 ホテルあり木槿づたひにグリルあり  京極杞陽

 ホテルに傘忘れ日が過ぐ巴里祭  鈴木鷹夫 渚通り

 ホテルの庭遠くに稲架の一文字  松村蒼石 雁

 ホテルの浪音もなくうすら眠うものかく  梅林句屑 喜谷六花

 ホテルはともす鳴くかなかなに似合ふ灯を  桂信子

 ホテルみな白しホテルは何充つ城  楠本憲吉

 ホテル建つ噂どこへか草茂る  清水寥人

 ホテル卓上ナフキン尖り秋日澄み  及川貞

 ホテル竹林常宿として稲雀  鈴木栄子

 みちのくの旅籠屋さびて巨燵哉  炬燵 正岡子規