蝉鳴いて盛夏の朝を迎えおり

 けふ生きて山の湯にあり朝の蝉  畠山譲二

 音止めて漁船入りきし朝の蝉  水野 柿葉

 化粧てふさびしきことを朝の蝉  辻桃子

 蒲原の夜蝉朝蝉たのしけれ  山田みづえ

 大阪の緑がふるえ朝の蝉  坪内稔典

 蝉鳴いて盛夏の朝を迎えおり  アロマ

 朝の蝉ベッド転落つつぬけに  石田あき子 見舞籠

 林に蝉鳴く夏の夕間暮れ  アロマ

 家より十歩泉のありて朝の蝉  大野林火 白幡南町 昭和二十七年

 山里は青田に日ざし朝の蝉  右城暮石

 セ口を弾くごと朝蝉はしらべ替へ  阿波野青畝

 蜩遠く鳴き去り澄めり朝の蝉  及川貞 榧の實