母漬ける梅干小粒柔らかく  

 梅干や夕がほひらく屋根の上  正岡子規 梅干す

 梅干や茶粥や大和うるはしく  上田五千石 天路

  梅干や豁然として四山の日  西島麦南 人音

  梅干を封ぜし壷のなぜ肩よ  橋本多佳子

  梅干舐む炎天遠く出でゆくと  西東三鬼

 梅漬くる老いし夫の手をかりて  百合山羽公 故園

  梅漬けし甕の真上に夜がみなり  百合山羽公 故園

  梅漬けてあかき妻の手夜は愛す  能村登四郎

  梅漬けて余りし塩も青々し  百合山羽公 寒雁

  梅漬けて月日の流れとどまらず  鷹羽狩行

  梅漬ける小さき庵々かな  山口青邨

 母漬ける