映画の看板立つ通学路 

 敬老の日の菓子屋町抜けにけり  池田秀水

 継ぐ子なき酒屋の閉ぢる冬柏  斉藤志津子

 月さして米屋に米の匂ふなり  町田しげき

 犬も曳く粉屋ぐるまや秋暑し  室生犀星

 戸敲くは水鶏か八百屋か豆腐屋か  水鶏 正岡子規

 呉服屋が来てをる縁や干大根  高浜虚子

 呉服屋にチヨコも売られて二月来る  金堂豊子

 呉服屋に海女の来てゐる盆休み  升本栄子

 呉服屋の番頭不惑処暑の雨  増田栄子

 呉服屋の葉月の誘ひ多すぎし  高橋玲子

 御会式花四五本町の荒物屋  梅林句屑 喜谷六花

 御用聞きまづ酒屋来て秋涼し  鈴木真砂女 夕