祭りの焼き烏賊醤油芳ばしく

 干し烏賊のすだれ沖より夏は来ぬ  小田実希次

 干し烏賊の港見下ろす島の墓地  小原菁々子

 干烏賊に島の日照雨のいくたびも  清崎敏郎

 干烏賊の雫してをり蜑の路地  芦立みさ子

 干烏賊や燭の冥さの神威岬  石寒太 あるき神

  弥生尽烏賊が墨吐くはしりもと  石橋秀野

  後より斬りつけしごと朝烏賊売り  寺田京子 日の鷹

  恋文焼けど烏賊の水気もなかりけり  高山れおな

 懸の魚烏賊は開いてありにけり  茨木和生 往馬

 新涼やスパゲッティに烏賊の墨  北見さとる

 旅の旅人よ内感覚に烏賊するめ  折笠美秋 虎嘯記