虫集く晩夏に部屋で心地良く

 野菜種さらさら乾き虫時雨  殿村莵絲子 花 季

 遊ぶ子の声消えてより虫時雨  林 瑠美

 瑠璃光仏閻浮の闇は虫しぐれ  加藤楸邨

 鈴虫は鳴きやすむなり虫時雨  たかし

 恋が窪駅出て十歩虫しぐれ  鈴木しげを

 連れ立ちて話もなしや虫時雨  鈴木花蓑 鈴木花蓑句集

 廊下まで破れかぶれの虫時雨  櫂未知子 蒙古斑

 老ボーイのレノン語れば虫しぐれ  橋本榮治 麦生

 父通り過ぎたるこの世虫時雨  小檜山繁子

 武蔵野の夜は真平ら虫時雨  佐藤母杖 『一管の笛』

 文末に不悉としるす虫しぐれ  三田きえ子

 壁あればすべて書を積