82  葛城の里

 仁徳天皇の皇后―磐之媛は、葛城の出身。葛城之襲津彦の娘で、ソツヒコは、御所市の南西部に勢力を張っていた。葛城氏は、三輪山を中心とするヤマト王権と勢力を二分するくらいの古代の豪族だった。自分の娘を輿入れさせるほどの豪族で、朝鮮半島へも、征討軍の将として海を渡っている。

御所市(ごせ)は、橿原神宮を挟んで、三輪山と丁度反対の位置にある。近くには、巨勢山古墳群もあり、また、葛城山と金剛山の境を通る水越峠(517m)は、河内へ通ずる物流の動脈でもあった。瀬戸内海から難波に着いた大陸の文物は、水越峠を通って葛城氏に伝えられた。堺市にある仁徳天皇陵も、水越峠を通