秋風に佇み鳥は塒へと

 けもの篇引けば巷の秋の暮  原裕 青垣

 あちらむきに鴫も立たり秋の暮  蕪村 秋之部 ■ 老懐

 あやす嬰は地蔵の重さ秋の暮  高澤良一 素抱

 あやまちはくりかへします秋の暮  三橋敏雉

 いたづらに大沓脱や秋の暮  道芝 久保田万太郎

 いつのまに橋をわたりし秋の暮  杞陽

 いつも来る乞食の声や秋の暮  春坡 五車反古

 いづこより我れ呼ぶ声ぞ秋の暮  大谷句佛 我は我

 うき人を又くどきみん秋のくれ  向井去来

 うなぎやの二階に居るや秋の暮  白水郎句集 大場白水郎

 えいやつと活た所が秋の暮  小林一茶 (1763-