箱根にて公魚天麩羅出す店に

 機帆船のごとし七月飯屋あり  小木ひろ子

 蕎麦屋にて青水無月と思ひけり  田中裕明 先生から手紙

 蕎麦待つ間蕎麦屋の鉢植え岩煙草  高澤良一 暮津

 駆け降りて高尾の蕎麦屋新酒汲む  矢野春行士

 懸想文蕎麦屋の湯気にひらきけり  佐土井智津子

 拳銃がありそうな棚 港のレストラン  伊丹公子 メキシコ貝

 現はるゝ白き飯屋や天の冬  攝津幸彦

 古き名の一料亭や都鳥  阿波野青畝

 国旗又飯店の赤国慶節  高澤良一 燕音

 歳晩の向ひの窓もレストラン  高木晴子

 坂本の里の蕎麦屋の師走かな  久保田万太郎 流寓抄以後

 師