お気に入りのDJの声ラジオより  

 車窓よりラジオ流して瓜摘花  高澤良一 寒暑

 嫋々とラジオ歌へり胡麻叩  石田波郷

 ラジオ鳴る深夜の響きゆくりなく アロマ

 夕暮はラジオを叩く父となる  仁平勝 東京物語

 油照横ざまに寝て聴くラヂオ  石塚友二

 夜の稲架を組む声家のラジオの声  右城暮石 声と声

 目刺焼くラジオが喋る皆ひとごと  波多野爽波

 北風荒らびラヂオも今はなき真夜と  森川暁水 淀

 邦語ラジオ始まる頃よ毛糸編む  西岡敏子

 蜂飛べりラジオ雑音となりし昼  長谷川かな女

 晩涼のいまを惜まむラヂオ消す  篠田悌二郎

 梅雨晴や野球知らねばラ