街の灯りに誘われて。

入院先のかみさんを見舞った後、誰も居ない住まいへ帰るのも侘しく、すっかり暮れた晴れた空は、深く濃い青、薄っすらと瞬く星に誘われるように、すっかり足が遠のいていたスナックへ。

嘗て、仕事帰りに、真っすぐ帰宅するのも味気ないと、電車の窓から通り過ぎる街の灯りに、ふと停車した駅で途中下車、暖かく柔らかそうな店内の灯りに誘われて、2~3段の石段を上がって、狭い入り口のドアを押し開けて中へ、ウナギの寝床のように、1間半ほどの幅で、真ん中を奥までカウンターが延び、肩を寄せれば15人、いや、もう一人か二人腰かけられるか、腰高のストールが客を待っていた。

入り口の脇