裸の王様を「王様は裸だ」と言った人

近年はもっぱら対談集などで楽しませていただいていた吉本隆明さんが亡くなられたときに思ったこと。
 
膨大な著書のごく一部しか読んでいないのですが、もっとも感銘を受けたものと言えば、「擬制の終焉」でしょうか。
 
まわりが「思想」や「論争」に明け暮れていたころ、詩人としての吉本さんを追跡していた私は、もっぱらこの人や三浦つとむさん、それに谷川雁といった人たちの言語論に関心を持っていたのですが、友人がぜひ読んでみろと譲ってくれた黒い表紙のこの本の、「自分の目が見たものを信じないでどないするねん」という、関西漫才の「つっこみ」めいた文章の数々に度肝をぬかれた記