硝子窓師走の光に暮れ初めて

 さまざまの赤き実のある十二月  森澄雄

 パート募る年令伸びて十二月  山口恵子

 ラジカセの響く工事場十二月  松沢満里子

 ラーメンの縮れさみしき十二月  篠塚千恵美

 十二月紅葉盛りの上旬に  アロマ

 入浴も仕事のひとつ十二月  佐野みつ

 入込みに白き月見し十二月  臼田亜浪

 チンゲン菜油を飛ばす十二月  高澤良一 素抱

 バスに席得て目をつむり十二月  橋本風車

 われひとに夕靄の濃き十二月  松村蒼石 露
 
 われ急くや影も小走り十二月  堀恭子

 十二月どうするどうする甘納豆  坪内稔典

 十二月一日のあした