軽快にジャズ口遊(ずさ)み小路行く

 セーターに齢は問はぬジャズ仲間  山田弘子 こぶし坂

 どれも口美し晩夏のジャズ一団  金子兜太

 みつ豆はジャズのごとくに美しき  国弘賢治

 もしジャズが止めば凩ばかりの夜  寺山修司 未刊行初期作品

 暗さもジャズも映画によく似ショールとる  星野立子

 額あつめる教師ら微熱のジャズあふれ  穴井 太

 ジヤズを聴く指はづみをり敬老日  杉本寛

 ジヤズを聞くポツプコーンの香の片影  菅野イチ子

 ジャズ唄ひ乍ら菠薐草洗ふ  樋口玉蹊子

 ジャズ近き麦踏いよよ独りの貌  加藤知世子 花寂び

 ジャズ現つ紙屑を燃す霜の上  古