ギヤマンの帯留め似合う羅よ

 雲の紗をかけて水鳴る山葵沢  小森泰子

 うすものの如き鬼灯ともりけり  阿波野青畝

 うすものの重り合ひて濃むらさき  山口青邨

 うすものを着て雲のゆくたのしさよ  細見綾子

 日傘差し蒼い薄物纏う人  アロマ

 干網の青い紗くぐり 織子帰省  伊丹三樹彦

 羅に天女の壁画舞ひをさむ  原裕 青垣

 羅をゆるやかに著て崩れざる  松本たかし

 羅を着て茶を點つる暁の夢  及川貞 夕焼

  羅を裁つや乱るゝ窓の黍  杉田久女

 薄物をかけし衣桁や風渡る  正岡子規 羅

 行きまじる軽羅の街は薔薇粧ふ  中村汀女

 うすものや秘