有田の食器遣ってお節盛る

 正月の人来し声のひかる玻璃  升水砂光

 正月の俄か訛に泛く田かな  牧野桂一

 正月の凧の一つの睥睨す  鷲谷七菜子

 正月の凧や子供の手より借り  百合山羽公 寒雁

 正月の凧裏窓に漂へり  風間加代

 正月の和服つめたき襟合す  百合山羽公 故園

 正月の山の指笛童子かな  皆川白陀

 正月の白波を見て老夫婦  桂信子

 正月の雲のももいろ瑠璃光寺  上野さち子

 正月や橙投げる屋敷町  正岡子規

 正月や浜の茨の返り咲き  臼田亜浪

 正月や夜の食器は灯の下に  細見綾子

 正月や山雀あそぶ松さくら  渡辺水巴 白日