退院前夜

  素描

彼は退院を明日に控えとてもうきうきしていた
久しぶりにあの仔達(五匹の猫)と会えるからだった
正直、彼は妻や娘たちよりその仔達に会いたかった

彼はこれまでにも何度か入院したことがあった
その度にあの仔達と会えないのが寂しかった
特に一番なついているクロエに会いたいと思った
この仔は彼が家にいるときは必ず彼の近くにいた
膝で眠ったり布団に潜り込んで来たりもよくしていた
そんな彼には退院の時いつも一つの不安があった
それはあの仔達がどんな態度で迎えてくれるかだった
彼を覚えているだろうか、迎えに出て来るだろうか
初めての人が来た時の様に二階に逃