機上から遥かの下に太陽が 歳月を経て映日と知る


 石庭の不可解縁に昼寝の徒  山口誓子

 不可解な溝に刃を入る八つ頭  小森谷正枝

 こころよきことのふしぎに芙蓉咲く  岡井省二 夏炉

 さみだれやふしぎに烟る山の家  成田蒼虬

 なぜここにゐるがふしぎな花莚  能村登四郎

 はつ雪やいかなる木曽の七ふしぎ  許六

 勾玉出土森にふしぎなカンナ咲き  神尾久美子 桐の木

 校歌まだ歌えるふしぎ秋夕焼  渡邊禎子

 山ぞらのふしぎに白し仏法僧  太田鴻村 穂国

 山吹や是はふしぎに道がある  除風

 秋ふかむふしぎ揚羽がまた多し  篠田悌二郎 風雪前

 春の野に妻と居ることふしぎ