氷の豪華鳳凰透き通る



 氷上に道あり暮れて帰るなり  金箱戈止夫

 氷上に投げ捨てありし掛矢かな  河野静雲 閻魔

 氷上に転ぶと思ひ転びけり  金箱戈止夫

 氷上に釣りて寡黙にありしかな  奥田智久

 氷上に船より落ちし火の燃ゆる  大倉今城

 氷上に石走らすやとどまらず  山口青邨

 氷上に西日をおとす風となる  松澤昭 神立

 氷上に吹きとばされぬ烏瓜  金尾梅の門 古志の歌

 氷上に身の影像をけむらする  石原八束 空の渚

 氷上に捨てし氷に夕茜  中村汀女

 氷上にばらまきしごと鴨のゐる  石井とし夫

 氷上にとぼしき蜆掻きあげぬ  蕪城