吾子抱いて話しかければ機嫌良し



 若葉冷えして口数のなかりけり  岸田稚魚 紅葉山

 かくばかり多弁なりしか受験終へ  高橋獺祭

 おでん酒夫の多弁を目で封じ  斎藤佳織

 鱈食ふて口数多し津軽人  矢田邦子

 手花火の孫に口数多き夫  桐山 ミヨ

 機嫌よき口数減りぬ牡蠣は酢に  石川桂郎 四温

 よくもまあ続くお喋りソーダ水  中村陽子

 練供養待つ間の老婆多弁なり  小林実美

 涼しさや山は沈黙海多弁  阿部みどり女

 肥後椿よき人と居てわが多弁  岡本眸

 吾子抱いて話しかければ機嫌良し  アロマ

 花種を蒔きしその夜は饒舌に  吉川康子

 冬満月何