小説「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(10)

 清光の息子たちは、それぞれ異なった性格を持ち合わせていた。しかし、それなりに伸び伸びと育っていった。そして、厳尊以外は、障害を持った息子たちはいなかった。 彼らは、八ヶ岳の自然の世界の力に包まれ、自然に守られて、清光の家族一族郎党は、心身ともに恵まれた暮らしを送ることができたのだった。
 清光の長女のまきは、谷戸城のある八ヶ岳南麓から、やや離れた場所の、甲斐の国でも甲府盆地の一角にある石和荘に嫁いで行った。清光の所領拡大策による政略結婚のような形ではあったが、まきはさっぱりした態度で、清光に、
「長い間お世話になりました。新しい生活を頑張って暮らしてい