通学路四月八日の雪に濡れ



 あかあかと春の雪ふる金魚玉  齋藤愼爾

 あはび噛む灯暗し春の雪  会津八一

 ある時は花の匂ひの春の雪  佐川広治

 いつしかにヘツドライトの春の雪  波多野爽波 鋪道の花

 うす色の温室バラぞ春の雪  久米正雄 返り花

 お胎内くぐり明るき春の雪  生井慶子

 からし菜に直ぐ積りけり春の雪  前田普羅 新訂普羅句集

 くぐり見る松が根高し春の雪  杉田久女

 くちすすぐとのゐの禰宜や春の雪  橋本鶏二 年輪

 くちづけて封印となす春の雪  高澤晶子 純愛

 くちびるに触れて地に着く春の雪  松山足羽

 くづすことも積木の遊