銅心

岡崎疎水の脇を走る冷泉通の、ちょうど関電の夷川発電所のあたりの桜の下で、おじさんが黙々と銅線で細工編みをしていた。二条通りから路地抜けをして、冷泉通に出てすぐにこのおじさんと目が合った。はやく「くろ谷」に着きたかったのだが、このおじさん、只者ならない目をしていた。「ちょっと話でもしていきませんか」と言われた。

銅線で籠を編んでいた。持たせてもらうと、ずっしりして重い。きちんと編まれている。

「わざわざ東京から買いに来てくれはる人もいる」と言った。ほんまかいなと思ったが、細工は「本物」とみた。家に帰ってから調べると、このおじさん、とても名のある工芸士で