月光に冴えて螺鈿の宵桜


 夜桜に僻地教師の小酒盛  田中静竜

  夜桜に客を送りて女中達  松藤夏山 夏山句集

  夜桜に寄せオートバイまだ熱し  奥坂まや

 夜桜に帽子を深くしてゆけり  藤田あけ烏 赤松

 夜桜に後ろの闇のありてこそ  今井つる女

 夜桜の広がる空に三日月が  アロマ

 ひらひらと散る花びらに宵の空 アロマ

  夜桜に愁の面あげにけり  阿部みどり女

  夜桜に星無き空の濃紫  成瀬正とし 星月夜

  夜桜に月は七日か八日かな  高橋淡路女 梶の葉

 月光に冴えて螺鈿の宵桜  アロマ

 夜桜に歩きて誰も明日知らず  西村和子 夏帽