6月30日(日)雑歌八首

1. 朝まだき白くやはらに靄の中

     行き交ふ人も行方知れずに

2. 行く道は霧の掛かりし回り道

     茫茫たりし病床のわれ

3. 春に飲む美味しい水の潤ひは

     富士胎内の濾過の賜物

4. 夏至過ぎてたわわに咲きし紫陽花は

     身の重みゆえ水辺に濡れて

5. 朝まだき気の湿りおり人肌の

     甘き香りに夏の候を知る

6. 午前四時二十五分の日の出ごろ

     夜露に濡れし夏至の紫陽花

7. 実白し未だ熟さぬ桃の実は

     梅雨のをはりの驟雨を受けて

8. 我が心雨は上がるも暮れ泥み