1. 朝まだき白くやはらに靄の中
行き交ふ人も行方知れずに
2. 行く道は霧の掛かりし回り道
茫茫たりし病床のわれ
3. 春に飲む美味しい水の潤ひは
富士胎内の濾過の賜物
4. 夏至過ぎてたわわに咲きし紫陽花は
身の重みゆえ水辺に濡れて
5. 朝まだき気の湿りおり人肌の
甘き香りに夏の候を知る
6. 午前四時二十五分の日の出ごろ
夜露に濡れし夏至の紫陽花
7. 実白し未だ熟さぬ桃の実は
梅雨のをはりの驟雨を受けて
8. 我が心雨は上がるも暮れ泥み