古刹の石段紫陽花迫り出して


 くれなゐの紫陽花の帯線路沿ひ  本郷宗祥

 紫陽花の押しくらまんじゆう子等の声  塩千恵子

 紫陽花のいろ滲ませて雨しとど  宮崎左智子

 紫陽花や新校長は雨女  城台洋子

 垣突き出る白紫陽花に夕日射す  中江月鈴子

 珈琲はブラック紫陽花の名はカルメン  中山皓雪
 
 暮れぎわの紫陽花浮力持ちはじむ 望月和子

 うす目あけ馴れし駅名濃紫陽花  久保田一豊
 
 紫陽花の虚ろな想いにじむ午後  尾上有紀子
 
 したたかに紫陽花はづむ俄雨  沢ふみ江

 夜上りの風の重たき濃紫陽花  小原芙美子

 雨の日は夕刊