夏休み都内へ吾子と地下鉄で



 春の日に立ち地下鉄へ下りてゆく  京極杞陽 くくたち下巻

 神農の首振る虎と地下鉄に  藤村克明

 震災忌地下鉄出口闇に向き  山下知津子

 人逝くはしぐれのしわざ地下鉄へ  吉田透思朗

 他人と並び 揺れ 地下鉄も川わたる  伊丹公子 山珊瑚

 地下鉄の新車両は窓広く アロマ

 短夜を蛹にもどり地下鉄に  小檜山繁子

 地下鉄が梧桐の地に潜りたり  久保田慶子

 地下鉄が地上へ雪の降る日かな  ふじむらまり

 地下鉄が地上を走り秋の暮  鈴木六林男 後座

 地下鉄で「さよなら」せしまま露の世ヘ  中村明子

 地下鉄にヴィオロ