街闊歩月と私の二人のみ


 照る月に今宵の事を話し掛け アロマ
 
 箱庭に招き入れたる夏の月  深澤鱶
 
 星消してゆく山の端に夏の月  稲畑汀子

 月涼しよこぎる牛に車とめ  星野立子

  月涼しノートルダムの時計鳴る  星野立子

  月涼し倭人朝衡の心おもふ  阿波野青畝

 夏の山細く懸かりし宵の月 アロマ
 
 夏の月子は異国にて誕生日  竹川美佐子

 街闊歩月と私の二人のみ アロマ

 潮騒に転がる石の音を聞く アロマ

 夏の月塔に上れば横に在り  尾崎放哉 大学時代

  夏の月多度の山辺は暗からむ  山口誓子

  夏の月大長刀の光哉  正岡子