母漬ける梅干し少々持ち帰る


 なかなかに残るいきれや夜干梅  綾部仁喜 樸簡

 なにごとも無かりしごとく梅漬ける  相澤尚子

 ひとごこち梅干茶漬かっこみて  高澤良一 素抱

 ほん少しより梅漬けず二人ゆゑ  及川貞 榧の實

 まだわれに為すことのあり梅漬くる  薄木千代子

 母漬ける梅干し少々持ち帰る アロマ

 まだ生きむ執着ありて梅漬くる  大場榮朗

 まん中に梅干を置く文化の日  水口佳子 銀化

 大粒の柔らかき梅干が好き アロマ

 をりをりの風の手触り夜干梅  石田阿畏子

 エーゲ海梅干一つ浸すべし  三橋たまき

 バス停の椅子に梅干す檜原村  荒