朝風にまだ素面なる酔芙蓉 富田道子
天井に奏づる天女や酔芙蓉 田口冬生
燈台は白に徹せり酔芙蓉 山口超心鬼
白といふはじめの色や酔芙蓉 鷹羽狩行
補陀落といふまぼろしに酔芙蓉 角川春樹
暮れてなほ空のみづいろ酔芙蓉 徳田千鶴子
夜来の雨払ひて今朝の酔芙蓉 長谷部菊江
約束にあしたかがやく酔芙蓉 勝野八重子
余生にもあるときめきや酔芙蓉 江間 蕗子
葉は虫に食はせて宵を酔芙蓉 河野頼人
裏富士の水の音聞き酔芙蓉 有馬朗人 耳順
恋ならぬ逢瀬もありぬ酔芙蓉 松永静雨
壺の口の鳴りおり