エッセイ「風と波と潮と」

ヨットでもパワーボートでも、エンジン付のフネを操縦する人は、国家試験を受けて小型船舶操縦士免許を取らなくてはなりません。
これはその国家試験の実地試験の様子を題材にした、旧いエッセイで、横書き書式に改めた他は原文のままです。


   ***「風と波と潮と」*** cz-0123

 5月のある日、多摩川河口は風が強かった。風速7、8mはあるだろうか。沖には白い波頭がおどり、ヨット乗りの言うウサギが跳ねていて、モーターボートにはちょっと辛い海況だ。
 羽田空港近くにある、国土交通省・2級小型船舶操縦士免許・実地試験場で、およそ40人ほどの男女が試験の順番