時雨つつ光差し初む広野かな


 
 ふたたびの時雨を抜けて高速路  稲畑汀子
 
 サントリーホール出づれば小夜時雨  稲畑廣太郎

 茹蟹の湯気の上海江時雨  武田禅次

 夕時雨なじみの店の縄のれん  増田文雄

 上賀茂の時雨過ぎたる朱の鳥居  朝妻力
 
 家路とは情のあるもの夕時雨  粟津松彩子

 時雨れつつ野原枯れ色冴え渡る アロマ
 
 音も無く鴎飛び交ふ雪時雨  孝子・フォン・ツェルセン
 
 灯台や荒藻の靡く磯時雨  三浦ひろみ

 磐梯の日陰くつきり時雨来る  斉藤静枝

 小走りに外湯めぐりや夕時雨  金山千鳥
 
 すつぽんのひよいと貌