本書は歴史小説ではない。北条氏研究の第一人者といわれる著者が、最新の研究成果をもとにして明らかにした伊勢宗瑞(北条早雲)の全体像を描く本格評伝である。本年8月出版の新書だ。
伊勢宗瑞の一生を文献を駆使して描いている。従って彼に関する予備知識が必要とされる。正直言って難解な本であることは間違いない。私は本書の読後感想投稿にあたり、改めて伊勢宗瑞の生涯を語るつもりはない。今までに訪ねた遺跡、旧跡などの記憶から今回の読書で納得したことを書いてみる。
本文66p~67pに次の記載がある。
「長尾伊玄はかつて山内上杉家の宿老の1人で、享徳の乱最中に山内上杉家の