立春のころ

  立春のころ


その日司門君は朝少し早く目が覚めた

居間へ行くと君が洗濯物をたたんでいた

「あら、今日は早いじゃない」

「目が覚めちゃったんだ、二度寝する時間もないし」

「直ぐ食事の準備するから」

君はキッチンへ向かう

「ゆっくりでいいよ」

僕は君の腕を取って引き寄せた

「ねえ、キスしよう」

「どうしたのいきなり」

「だって前はいっぱいしてたじゃない」

「そうだけど、いいわよもう」

「しようよ」

「やだってば」

君は少女のようにテーブルの周りを逃げ回る

部屋の隅に追い詰めると顔をのぞきこむ

君はあきらめた様に顔を上げた