32 「歎異抄」 覚書

 毎年、1冊、古典を読むことにしていて、10数年続いている。今年は、「歎異抄」を読んでみようかと、買った。孤島に行くとき、1冊だけ持っていく本をと言われたら、「歎異抄」を、という人がいたとか。それほど執心する人がいる本ならば…と手に取ってみた。講談社の学術文庫で、1180円、梅原猛の<注>付きである。

2月21日から初めたが、手術後の検診や3部屋の畳替え、孫の子守などで、途切れ途切れの読書となって現在に至っている。しかし、この本は、パラドックスを用いた書き方で、すらすらと読むわけにはいかない。この本は、鎌倉中期の人、親鸞の弟子に当たる唯円が、師の言葉を