51、「ボヴァリー夫人下」はエンマの恋の一生描く

「ボヴァリー夫人下」 フローベール著 伊吹武彦訳
岩波文庫 昭和14年4月17日発行
ーシャルルはブーランジュ氏に、妻はいつでも都合がよいから、どうぞよろしくと手紙を出した。
 翌日の正午、ロドルフは自家用の馬を2頭たずさえてシャルルの家の門前に着いた。
 エンマは、「私には恋人がある!恋人がある」と繰り返した。それを思い、それにまた、2度目の春が突如として自分に訪れたことを思ってしみじみ嬉しかった。
 そして長い間おさえにおさえてた恋心が、再びにたぎって一度にどっと沸き出したのだ。彼女はその恋を味わって悔いもなく、怖れもなく、悶えもなかった。
 そのあ