店の自動ドアの前にはピンキーとキラーズの男性の風体が立ち、客を迎えているのはいつものとおりだ。黒のスーツにずんぐりむっくり。ただ、ステッキも髭もない。「恋の季節よ」と踊ってもいない。
年のころは50歳を過ぎていそうだ。本人は40歳代見せようと、顔にクリーム、髪にポマードなんぞを塗っているが、最近の外出自粛で売上が落ちている心労ゆえか、60歳以上にしかにかみえない。
ケースを見たが、シュークリームがない。
「今日、イートインは閉鎖?」
キラーズの片割れは、疲れたような表情で頷く。飛沫がワタシにかかるのを気にしているのか。
ワタシはシュークリームだけに